グレーゾーンな30代独身派遣女子の日常

30代独身派遣女子の日常

元彼に日々振り回されています

人生で初めてのメロンパン、いただきますの儀式

お題「人生で一番古い記憶」

 

幼稚園に入園して

初めてのお昼ご飯。

 

その日のメニューはパンだった。

他にも牛乳とか何かあったのかもしれない

ただ、思い出されるのは、机の上に用意された黄色いケース。

そこに様々な種類の袋が綺麗に陳列されている光景。

 

好きなものを1つ選らんでいいらしい。

私は、初めて見る様々なパンに目を輝かせた。

 

その中でも一際の輝きを見せていた

黄金の丸い塊を1つ選ぶ

 

メロンパンなんてものと

私はこの時、人生で初めて相見える

 

自分の席に着席し、

その袋をワクワクしながら開く

 

「ストップ!」

 

私はその手を止められる

何が起きたのか理解出来ない

何か間違えた?

でも、食べ物は食べるものでは?

実は選ばせただけで、食べるわけではないのか?

「?」が頭の中を駆け巡る

 

「いただきますしてからね」

 

特に怒られたとかではない。

ただ、先生から指摘された。

 

自宅では、いただきますなんて習慣は無かった。

母がテーブルに食事を用意して、私の名を呼ぶ。

私は席に着き、目の前に準備されたご馳走を食べるのだ。

 

知識としては知っていた

「いただきます」という儀式

 

そうだ

世間ではそういった習慣があるのだ。

 

私は幼稚園独自に用意された

いただきますを済ませて

ようやくメロンパンにひと齧り

 

さっきまで

あんなにも輝いて見えたメロンパン

今もあれが、どんな味をしていたのか思い出せない

あの時も、きっと味なんて分かっていなかった

 

美味しかったのか

甘かったのか

カリカリ?ふわふわ?

 

そんなことよりも

私は、世間と自分との間に広がるズレに夢中になっていた