どこからが浮気?共感出来ないスペクトラムの場合②
世間一般ではどこからが浮気なのだろう。
私の感覚がおかしいのだろうか。
それとも彼の感覚も、世間とはズレたものなのだろうか。
いや、共通したルール等、そもそも存在しないのかもしれない。
彼は、私が会社でセクハラと称されるような行為を受けるのを酷く嫌がった。
一度、体調を崩して休職が必要となった時、職場の同僚と二人きりで飲みに行ったことがあった。私的には、送別会のようなつもりだった。ただ、相手はそんなつもりでなかったようで、無理やりホテルに連れて行かれそうになったことがあったのだ。
まだ、彼とは付き合っていなかった頃。
後日、実は前にこんなことがあったのだと、彼に伝えた。男の人は、皆そんなものなんだろうか。あんな人だとは思わなかった、こんな会話からのスタート。
「飲みに行くって話は聞いてたけど、まさか2人きりで飲みに行くとは思わなかった。…そっか。分かった。ねえ、もう男の人と2人きりで飲みに行くのはやめて。もし行く時は、事前に俺に教えて。それなりの時間になったら電話かける。そしたら、それを合図に家へ帰って」
彼はため息をつきながら、そう言った。
心配性な人だ。
でも、あれはちょっと面倒だった。
これから異性と2人きりで飲みに行くのはやめよう。
あの事件から、少しだけ意識の変化が起こった。
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職場の上司が、2人きりで飲みに行こうとしつこい。体を触ってくる。気持ち悪いという程ではない。ただ、変な噂が立って、仕事をやりにくい。そんな相談を彼にしたこともあった。
「ねえ、もうそんな職場やめなよ。
俺が、もっと別の良いところを紹介するよ?」
なんとか仕事を辞めさせようとする彼。
コネ入社か…そうなると、彼に頭が上がらなくなるな。退職する時も、面倒臭そう。
私は、のらりくらりと断った。
女子特有の、ただ共感して欲しかっただけなのだ。
そこまで大事にするつもりはない。
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彼と付き合ってから、私の中で少し変化が起きた。
今まで特に何も感じなかった、誘われたり、触られたりという行為が、彼以外にされると嫌悪感が生まれるようになってしまった。
生理的な嫌悪感とは、こういうことをいうのかもしれない。
そんな自分の中の変化に最初は戸惑い、次の瞬間には生き辛さを感じた。
こんな感覚が生まれるまでは、上司に媚を売ることなど造作もなかったのに、その生き方が出来なくなってしまったのだ。
そんな自信の戸惑いを伝えた時、彼は嬉しそうだった。
なんて人だ。
私の出世が遠のくかもしれないというのに。
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彼と付き合いだしてから
自分の中で色々なタブーが出来てしまった。
回し飲みが嫌
触られるのが嫌
距離感が近いのが嫌
1人だけ贔屓されるのが嫌
下ネタに敏感になり、嫌悪感を抱くようになった
色々な行為や言葉に、性を感じるようになり、気持ち悪さを感じた。
友人や同期の女の子と、近い感覚に染まってゆく。
ああ、世間の女性達は、こんなにも生き辛い世界で過ごしていたのか。