グレーゾーンな30代独身派遣女子の日常

30代独身派遣女子の日常

元彼に日々振り回されています

どこからが浮気?共感出来ないスペクトラムの場合

とある動画で「どこからが浮気か」というテーマで話し合いをしていた。

 

人と付き合うまでの私は、一緒に食事や手をつなぐ等、特に気にしなかった。体の関係も、お店なら特に問題視しない。全ての局面で、自分が相手を満足させる自信が無かったから、他所で色々な欲を発散させるのは仕方のないことだと考えていた。

 

ただ、心の浮気は嫌だった。

心が離れてしまったら、それが終わりの時だろうなと、感じていた。

 

後に彼氏となる人と、付き合う前、同じテーマで話し合ったことがある。

 

私は例に漏れず、先のようなことを伝えた。

 

「えー、そんな風に彼女に思われたら、逆に辛いけどな。

 

他所で発散しちゃっていいの?

自分では無理だから、他所で満足してこいってのは、言われる立場としては辛いなあ。

満足してもらえるように、頑張ってはくれないの?」

 

「満足はさせられない。

私には、そういうトーク力とか技術力がないから。」

 

「一緒に勉強はしてくれないの?」

 

「勉強はします。頑張りもします。ただ、人は得手不得手があります。私は、その分野は無理だと思う。そんな私に付き合わせて、ずっと満足出来ない状態は可哀想。だから、これは優しさです。」

 

一通りのやり取りの後、彼はうーんと唸っていた。

私の言っていることが、分からないわけでは無い様子。

ただ、男心として腑に落ちないのだろう。

 

「でも、心が浮気相手の人に行くのは、嫌です。別の人とデートしても良いです。手をつないだっていいです。でも、私といるときに、ああ、またあの子と遊びたいなって、思われるのは嫌です。」

 

ぼそりと呟いた私に、彼はまた疑問符を浮かべる。

 

「そんなの、男が本当はどう思ってるかなんて分からないじゃない」

 

「女の感とか、言うじゃないですか。

きっと、なんとなく分かります」

 

「自分で他の人と遊んで来いって言っておいて、いざその相手のことを好きになったら、嫌がるの?」

 

…。

確かに、そういう見方もあるのか。

今度は私が唸る番。

 

「体と心は別です」

 

「…なんでそんなに、自分を卑下するの?

好きな人が頑張ってくれてたら、それだけで誰だって嬉しいし満足だよ。頑張って会話を盛り上げようとしてくれてる彼女に対して、トーク力がないとか、そんなこと思わないよ」

 

 

貴方はそうなんだろう。

でも私はどうしても、そういう時、申し訳なさが勝ってしまう。

 

 

彼と付き合った。

彼は多分、浮気とかしていなかった。

忙しい中、時間を作って会いに来てくれていた。

 

仕事が忙しい人だった。

一緒にいると、時折疲れた様子を見せる。

欠伸をしている姿を見るたびに、心が痛んだ。

 

ああ、私という存在が負担になっている。

私なんて彼女という存在がいなければ、彼は本来、家で惰眠を貪れたのだ。

 

「ねえ、疲れてるんなら…もう帰りましょう」

 

何度そんな言葉を投げかけただろう。

その度に彼は謝った。言い訳のように、大丈夫、疲れてないと続ける。

 

「会う回数が多すぎるんですよ。減らしましょう。」

 

いつも同じやりとり。

嫌がる彼。

理解出来ない私。

どんどん彼の負担になる自分に負い目を感じる。

 

今思えば、彼は私と会うことが気分転換であり、リフレッシュになっていたんだろう。ただ、当時はそんな目に見えないものを信じることは出来なかった。

 

ある日、私が泣きながら、もう会うのを減らしましょう。負担になりたくないと伝えた。

 

暫く無言だった彼は、怒ったように言葉を返す。

 

「君は俺と会えなくても平気なのか?

 

そうやって俺に合わせて、本当に暫く会えなくなって、君は寂しくもなんともないのか?」

 

「だって、仕方ないじゃないですか。私が寂しいかどうかに意味なんてないです。貴方の負荷を増やす理由にはならないです」

 

「俺は君と会うことを負担だなんて思ってない」

 

「……言ってることが、分からないです」

 

「俺は君に会いたい。それじゃ、駄目なのか?」

 

本心では、駄目だと返したかった。

ただそれで彼を納得させることは出来ないだろう。

会話が通じない。

私は会話することを諦めた。

 

ごめんなさいと伝えた。

そして来週も会う約束を取り付けられた。

 

私は誰かといると、その人を駄目にしてしまう。

彼は満足していた。

私に思いが伝わったと思ったんだろう。

そうじゃない。

考え方が嚙み合うことはないと、諦めてしまったんですよ。