グレーゾーンな30代独身派遣女子の日常

30代独身派遣女子の日常

元彼に日々振り回されています

自分の意思で『へんしん』出来ないメタモンの悩み

私には確固とした自分というものがない。

 

ゆえに周りの人や環境に影響を受けやすい。普通であれば、他人と合わせるというのは苦痛を伴う行為なのかもしれない。ただ、私の感覚だと、どちらかというと他人に合わせるというよりは、他人に成り変わるという表現が適切なように思う。

 

接客時代は、同じ店舗にいる複数の社員の人格をコピーした。

 

売上があがらないという理由で困ることは無かった。

 

会社員時代

私は当時からYouTubeをよく見ていた。

ハマっているYouTuberの人格が入ってくる。私の喋り方や笑い方、仕草等、自分を形成する要素が次々に塗り替えられてゆく。

 

「その笑い方、俺、あんまり好きじゃない。前まで、そんなことなかったじゃん。どうしたの?」そんなことを上長から言われたことがあった。その時に初めて「あ、この笑い方は彼女のモノだ」と、昨晩見たYouTuberの顔を思い出す。こういう時は、また別の人間をコピーすればいい。そうすれば、自身の中の彼女はいなくなる。

 

そんな生活を続けていた。

 

悩み

私には、自分というものがない。

だから、個性の強い人に惹かれる。

 

私は、他人に取り入るのが得意だ。彼らの善悪の判断、好みが手に取るように分かるのだ。あとは、それを上手く演じるだけ。

 

昔から人に好かれることが多かった。他人に好まれるというのは良いものだ。しかし、彼らが見ている私は、本当の自分ではない。誰かのレプリカだ。本当の私を知っている人も、求めてくれる人もいない。

 

友達は広く浅く。

心はいつも、寂しさを感じていた。

 

そんなことを言えば、「自分を曝け出してもいないのに、他人が求めるもなにも無いじゃないか」と返されるかもしれない。その通りだ。しかし、曝け出す自分というものが無いのだ。自分というのは無のようなものだ。ポケモンで言えば、メタモンのような。何物でもあり、何者でもない。そんな存在。

 

悩み→特技への昇華

東京に来てから、会社の先輩にそんな自分の悩みを相談したことがあった。いや、相談という程でもない。雑談のついでに、今までの経歴を話すことがあり、少し話を出した程度。

 

「君は、凄く器用なんだね。他人の人格に成りきれるということは、自分の中にその能力とか才能があるということでしょう。普通、なかなか出来ないよ。俺は、人の気持ちがよく分からないタイプだから。他人に合わせたくても、合わせられない。羨ましいよ」

 

彼は、私の悩みについて、こんな風に返してきた。

その発想は無かった。

 

そうか、他人が憑依してくるという特性は、他人に憑依できるという特技だったのか。

 

自分の中のモヤモヤが、晴れた瞬間だった。