克服すべき?私の限定的な男性恐怖症
私は男性恐怖症なのだろうか。
私は男性と話すのが、あまり得意ではない。
でもそれは年の近い人に限るという制限付きだ。
10以上離れていれば、年上年下限らず普通に会話出来る。
年上ならば平気で媚を売れるし、会話もスムーズ。いやらしい目線で見られることも、体を触られることも、コップの回し飲みも何も気にならない。
年下ならば、それは守る対象である。
感覚的には犬や猫と同じなのだ。
仕事で困っていれば助けなければ、上司にいびられているなら守ってあげなければ。
母性というよりは、義務感のようなものが生まれる。
一方で、これが同世代だと、どうも上手くいかない。
赤面して話せないとか、そいうのではない。
話すのは話せる。
盛り上がりが必要な場であれば、それなりに演じることも出来る。
しかし、会話が楽しめないのだ。
そして二人きりになると、どうも居心地の悪さを感じる。
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私は昔から、年上の人しか好きになれない。
同世代や年下には、甘えられない。
信頼して自分の全てを曝け出せない。
ただただ疲れてしまう。
けれどそんな自分も、10以上年が離れている年上の人ならば「甘えても大丈夫」という、謎の許しが出る。
憧れが簡単に好きへ変わる。
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人生で初めて彼氏が出来た。
30歳の頃だった。
職場の上司で仕事の出来る人。
背が高くて、グルメ。
甘いものが好き。
お酒は苦手。
トーク力がある。
職場の誰も、その人の年齢を知らなかった。
既婚者かどうかも不明。
でもなんとなく、45以上で未婚なんじゃないか…そんな雰囲気があった。
私は真面目な部下だった。
彼は仕事に真面目な人が好きなようだった。
私は派遣社員で、初めて決まった配属先にいたのが、その上司だった。
彼が退職する1か月前に、私が配属された。
会社で一緒に過ごしたのは1か月ほど。
第一印象は特になし。
背が高いな、くらい。
気が凄く合った。
考え方が似通っていた。
lineを交換して、1日1回、彼とやり取りするのが、いつの間にか日課となっていた。
こんなに気が合う人は初めてだ。
でも、付き合おうと告白されることはなかった。
一緒に何度かご飯を食べに行った。
けれど、特に関係が進展することはない。
手をつなぐこともない。
潔癖過ぎるほどに健全な付き合い方を半年間。
なんとなく、年齢とか結婚してるかどうかは、訊ねにくい雰囲気。
何かの拍子に、彼女やお嫁さんはいないと告白された。
嬉しかった。
しかしやっぱり関係性が進展することはない。
私は幼児体系だ。
少しだけ、そこにコンプレックスがあった。
「なんで、手を出さないんですか?」
と、一度聞いてみたことがあった。
「魅力がないですか?」
問いただすような口調になってしまった。
本当は、もっと雰囲気のあるところで、恥じらう可愛らしさを見せながら、そんなことを考えていたけれど。
そんな日は待てども待てども来なくて。
私は痺れを切らしていた。
「そんな目で見られたいの。
そんな体を売るようなこと言うの、おかしい」
彼は50歳だった。
私より、20上。
彼は彼なりに、自分に自信が無かったんだろう。
だから、20も下の女に振り向いてもらえるとは思っていなかったのだ。
でも、その謙虚さは私を傷つけた。
彼とは、その一週間後付き合うことになる。
ただその後も、ふとした拍子に、あの時の言葉がよぎる時がある。
いつの間にか、年上の人も、恋愛対象に見れなくなってしまっている自分がいた。